
アーユルヴェーダに学ぶ梅雨の過ごし方
私が住む北海道では、梅雨の影響をあまり強く感じることは少ないのですが、全国的には梅雨入りの知らせも届きはじめましたね。
雨が続くと、なんとなく心もどんよりとしやすくなり、気圧の変化によって頭痛や心の重たさを感じる方もいらっしゃるかもしれません。
この記事が、そんな梅雨の時期を少しでも心地よく過ごすヒントとなり、次の季節を元気に迎えるためのきっかけになれば嬉しいです。
アーユルヴェーダの季節の過ごし方「ルトゥチャリア」
アーユルヴェーダには、季節の過ごし方(ルトゥチャリア)という知恵があります。
それぞれの季節の特徴に合わせて、食事・生活・運動などの習慣を調整することで、ドーシャ(生命エネルギー)のバランスを保ち、1年を通して健やかに過ごすことを目的としています。
季節の“切り替え”を意識して、ゆるやかに移行する
日本でいう「土用(どよう)」は四季の変わり目にあたる期間。
「土用=夏」と思われがちですが、実際には春・夏・秋・冬のすべての季節に土用があります。
この土用の時期は、季節のエネルギーが移り変わる不安定な時期として、昔から慎重に過ごすべきとされてきました。
アーユルヴェーダにもよく似た考え方があります。
それが 「ルトゥサンディ」という考え方です。
ルトゥサンディは、1つの季節が終わり、次の季節へと移行する前後約15日間ずつ(インドでは)の調整期間のこと。
この時期は、自然界も人の身体もとても揺らぎやすくなります。
前の季節の習慣を少しずつ減らし、次の季節の習慣を少しずつ増やすことで次の季節に向けて心と体をならしていく時期とされます。
つまり、アーユルヴェーダでは季節を考えるとき、「今」の季節だけではなく、「前の季節」の影響も大切に見ていくのです。
アーユルヴェーダの季節の過ごし方「ルトゥチャリア」とは?
梅雨時期は「雨=水=カパが増える」と思われがちですが、実はそうではありません。
アーユルヴェーダでは、梅雨は ヴァータ(風の性質)が乱れやすい季節 と考えられています。
またこの時期は、1年の中で最も消化力や体力が落ちやすいとされる季節です。
ヴァータが乱れることにより他のドーシャにも動きが出るため、ピッタやカパにも悪影響がでるという全体的にアンバランスになりやすい時期なのです。
そのため、この時期を大切に過ごすことは健康維持のために欠かせないと言えるでしょう。
梅雨の時期、そして次に迎える季節を快適に過ごすためには
消化力の強化と、ヴァータの鎮静がとても重要とされています。
なぜ梅雨にヴァータが乱れるの?
ヴァータは「風と空」のエネルギー。軽さ、冷たさ、乾燥、不規則性などといった性質を持っています。
一見「湿っている梅雨」にヴァータが関係あるようには思えませんが、以下の理由で乱れやすくなるのです。
- 気温の低下:夏が近いとはいえ、梅雨時は意外と身体が冷えやすいです。
- 気圧の低下と変動:気圧の上下は、心身にとって大きなストレス。特にヴァータにとっては不安定さが増します。
- 雨という「動き」:風や雲の動き、雨音など、梅雨は静かに見えて常に何かが動いている状態。これもヴァータの乱れを引き起こします。
- 「いつもと違う」という変化:私たちの心身は「晴れ=通常モード」に慣れています。そこに「雨=非日常」が加わると、微細なレベルで変化を感じ、ヴァータが影響を受けるのです。
ヴァータの乱れが引き起こす不調
このような時期に起こりやすいのが、
- 腰痛や頭痛、関節痛、神経痛など「痛み」に関する不調
- 不眠、落ち着かなさ、気分の浮き沈み
- 消化力の低下、体力の低下
古傷が痛む方なども少なくないのではないでしょうか。
ヴァータケアを念入りに行うことで少しずつ当たり前に訪れる痛みを手放していけるかもしれません。
梅雨の過ごし方:アーユルヴェーダからの提案
1. 消化力をいたわる食事を
「ヴァータが乱れているから重いものを食べて落ち着かせよう」
…この考え方は本当に正しい?
確かにヴァータの乱れには温かく重めの食事が良いとされますが、消化力が弱いこの時期に「重いもの」を摂ると、未消化物(アーマ)が溜まりやすくなります。
おすすめは、
- 温かくて消化にやさしいもの(スープ、煮物、キッチャリーなど)
- 適切にスパイスを取り入れる(生姜、クミン、ヒングなど)
- 食事の量は腹6、7分目に
- 冷たいもの・生もの・油っぽいものは控えめに
より本格的に体を整えたい方には、インドのお粥「キッチャリー」もおすすめです。豆やお米、スパイスを煮込んだ消化にやさしい一品で、アグニを整え、心と体に滋養を与えてくれます。
2. 身体を冷やさない・湿気から守る
ヴァータは「冷たさ・乾燥」に弱い性質を持っています。
冷えてから温めるのではなく、腹巻きや靴下、ショールなどで日常的に冷えない工夫をしましょう。
耳に風が入らないよう耳に綿を入れてあげることもとてもお勧めです。
心を落ち着かせてくれるゆったりとしたヨガや瞑想を習慣として取り入れてあげられたら最高ですね。
3. 規則正しい生活リズムを保つ
変化や不規則さで乱れやすいヴァータのケアのためには、就寝起床、食事、などの時間を規則正しく行うことが理想です。
慌ただしい毎日を過ごす方は特にゆったりとぼんやりと過ごす時間を意識的に作りましょう。
4. 気分が重くなるときは「香り」や「音」で調える
雨音が続くと、気分がどんよりしてくることもありますよね。
そんなときは、好きな香り(人工的ではないもの)や、心を落ち着かせる音楽を生活に取り入れてみてください。
最後に:梅雨の時期は「調える」ことを大切に
梅雨は、自然が恵みを与えてくれる大切な季節。
でも私たちの身体や心にとっては、ちょっとした不安定さを抱えやすい時期でもあります。
ヴァータのバランスを整え、消化力を強化しながら、無理なく穏やかに過ごしていきましょう。
きっとあなたの毎日が、より穏やかでやさしいものへと移り変わっていくことでしょう。
より本格的に体を整えたい方へは、定期的にキッチャリーを召し上がることをお勧めします。
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夏の過ごし方についての記事も書きますね。どうぞ楽しみにお待ちいただけますと嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
本日もどうかご自愛くださいね。
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